麗しの年上社長は、私にだけ貪欲すぎる
プロローグ

夢のようなひととき


それは、夢のようなひとときだった。

「出来る限り、痛くないようにします」
大きなベッドの上、奈緒を組み敷いた京助はそう言った。ビー玉のような瞳には、不安そうにも,
京助を求める奈緒が映っている。
奈緒は握っていたシーツから手を離すと、京助の背中に腕を回し、ぎゅっと掴んだ。
震えながら、声を絞り出す。
「優しくして下さい……」
そんな奈緒に、京助は優しく微笑んだ。
額に触れるようなキスが落とされる。
スーツを脱いだ京助の身体は、線は細いが程よく筋肉がついていて、美しい容姿とは裏腹に逞しかった。
ブラウスのボタンを外されたかと思うと、あっという間に衣類を脱がされ、裸にされてしまう。
京助に見られるのが恥ずかしくて、奈緒は両手で身体を隠した。
「あんまり、見ないでください」
「……どうしてですか? こんなにも綺麗なのに」
吐息と共に、京助の唇が奈緒のいたるところに触れていき、奈緒の身体は段々と熱を帯びた。
汗が滴る京助の身体。少し荒くなった呼吸すらも美しい。その姿に、ぼーっと見惚れていると、
「……大丈夫ですか?」
っと、心配そうに見下ろされる。
もっともっと、京助が欲しい。奈緒はそう思った。
「私は、大丈夫ですから、続けて下さい……もっと、してほしいんです……」
そう言うと、京助は困ったように眉毛を下げた。
「参ったな……」
乱れた髪を片手でかき上げる。その妙に色っぽい仕草に、ドキッとする。
「そんな可愛いこと言われたら、加減出来なくなります」
(か、可愛い? 私が……?)
「煽ったのは奈緒さんです。やめてと言っても、もうやめてあげられませんからね」
その言葉を最後に、奈緒は話す間もなく、京助がくれる甘い快楽に身を委ね続けた__。
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