麗しの年上社長は、私にだけ貪欲すぎる
だが、奈緒が美玲相手にそう言えるわけもなく、押し黙ってしまう。
美玲は、みんなの前で大恥をかいたと、奈緒を責めた。
『あんたのせいで、私、困ってるんだから、どうにかしてよ』
「どうにかって……」
美玲の様子じゃ、パーティーはすでに始まっている。今更どうしろと言うのだろうか。
『直しに来てよ』
「……え?」
一瞬、反応に遅れた。美玲が何を言っているのか、理解が追いつかなかった。
「直しにって、会場に行くってこと?」
『当たり前でしょ。あんたが悪いんだから』
美玲からしたら、それくらいして当然と言うことだ。
「で、でも、私、まだ仕事で……」
今すぐ美玲の元には行けない。だが、美玲にはそんなことは関係ない。
『そんなのどうとでも理由つければいいでしょ』
「そんな無理言わないでよ」
奈緒のなけなしのお願いにも、美玲は答えてはくれない。
『いいから早く来て!』
「あっ、ちょっと待ってよ……!」
そう言って、電話は一方的に切られてしまった。
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