麗しの年上社長は、私にだけ貪欲すぎる
「君は、どうしてここに?」
「あっ……ちょっと、用事がありまして」
「どんな用事か聞いても?」
「……おつかい、的な?」
男性に知られることに引け目に感じ、正直には言えず、奈緒はそう答えた。
「おつかい」
奈緒の表現の仕方が面白かったのか、男性は形の良い薄い唇を上げ苦笑した。
(こんな風に笑うんだ……)
会場内で見た退屈そうな表情とは違い、男性の笑みは愛らしく、とても魅力的だった。
目を伏せていた男性が奈緒を見る。
「君、名前は?」
「え? 名前、ですか……? 如月奈緒です」
戸惑いながらも名前を答える。
緩やかな風が吹き、草花が静かに揺れ動く。
ビー玉の瞳が、情熱的に燃えていた。
「奈緒さん。君を抱きたい」
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