麗しの年上社長は、私にだけ貪欲すぎる

__十日後。

Classicalでは創立記念パーティーが開かれていた。
毎年恒例行事であるこのパーティーには、Classicalで働く従業員やその家族、新田家と繋がりが深い人たちが、時間を共にする特別な日でもある。
(私、大丈夫かな……)
パーティーには、このドレスを着て下さい。
そう書かれたメッセージと共に、奈緒の元に一着のドレスが届いた。それがこの、エンジェルスリーブのドレス。肩のところから二の腕にかけて、刺繍が施されたレースで出来ているのが可愛らしい。
こんな可憐なドレス、自分などに似合っているのか不安だが、京助が選んでくれたことが、何よりも嬉しかった。
立食型のパーティーは、人があちこちに散らばっている。首を伸ばすように辺りを見渡すが、京助の姿はまだない。
(京助さん。伝えたいことがあるって言ってたけど、なんなんだろう……なんだか、すごく不安だな……)
全てを知った京助が、それでも自分を愛してくれるのか。考えれば考えるほどに、望みは薄いように思えてしまうが、彼に希望を持ち、信じたかった。

どんな自分でも、愛してくれると。

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