麗しの年上社長は、私にだけ貪欲すぎる
カツンと、ヒールの音がする。目の前に人が立つ。
「あら、奈緒じゃない」
溌剌とした声。
(なん、で……)
そこにはドレス姿の美玲が立っていた。隣には、着物を着た美玲の母親とタキシード姿の父親もいた。
奈緒が今、一番会いたくない人たち。
息が詰まる感覚に襲われた。
「そのドレス……」
奈緒が着ているドレスを見るなり、奈緒は気に食わなそうに眉を吊り上げる。
奈緒はさっと顔を俯かせ、視線を地面に向けた。
「こんなところで、何しているの?」
気を取り直すように、美玲は聞いてくる。
「……わ、私は……っ…そのっ……」
拙い言葉しか話せない奈緒に、美玲は呆れたように大袈裟に肩を上下させ、ため息をついた。
こないだの一件があってか、美玲とは以前よりも、上手く話せなくなっていた。
「私は京助さんに、家族でパーティーに招待されたの」
(え__京助さんに……?)
困惑した奈緒を、哀れんだ目で見ながら、美玲は勝ち誇ったように言った。
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