麗しの年上社長は、私にだけ貪欲すぎる
「京助さん。やっと来て下さったのね」
「……ええ」
京助がそう言ったのを聞くと、美玲は口元に笑みを浮かべ、ほらね?とでも言いたそうに奈緒に視線を送る。
奈緒は顔を俯かせた。
(京助さん、本当に美玲姉さんのことを……)
「何か、勘違いをしているようですが」
すると、京助は奈緒の肩を掴むと、グッと自分の元へ寄せた。
「僕が探していたのは、あなたじゃない。奈緒さんです」
肩に置かれた京助の手に、力がこもる。
京助の言葉に、美玲は戸惑いを隠せない。
「えっ……何言って……だって、京助さん、私のこと招待してくれたじゃないですか」
「ええ、しましたよ。しかし、それははっきりと言わせてもらうためだ」
奈緒は訳が分からず、困惑した表情で京助を見上げていた。
京助はこれでもかと言うくらい冷淡な目で、美玲たちを見下ろす。
「あなた方が今まで奈緒さんにした仕打ち……考えただけでも、僕は怒り狂ってしまいそうだ」
頭を抱え、深いため息をつく京助。垣間見えたビー玉の瞳が、漆黒の闇のように鋭く光っていた。
「花井」
「はい、社長」
どこからともなく現れた秘書の花井が、美玲の両親、そして美玲へと、一枚ずつ写真を手渡す。その写真を見た瞬間、美玲たちの顔は青ざめた。
「これ……どこで……」
思わず後ずさった様子の美玲。
一体、何を見せられたというのだろうか。
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