悪役令嬢らしく全てを奪われ、断罪されたはずなのになぜかヤンデレ従者に溺愛されてます
29
「どうして君の心はそんなにも汚れているんだ!」
「殿下が穿った見方をしているからではありませんか?」
ある日、エーメント殿下とお姉様が喧嘩をしていた。
お姉様ったら、めったに会われないのだからたまに会う日ぐらい仲良くすればいいのに。
私だったら毎日会いたいし、会った日は楽しく過ごしたい。
やっぱり私の方がエーメント殿下を愛しているわ。
「アリシアは君の妹ではないか」
私?
私のことで喧嘩をしているの?
でも、どうして?
「だから何だと言うのですか?片方の言い分のみを聞いて、責め立てるのはおやめ下さい」
「君はアリシアが可哀想だとは思わないのか?公爵夫人から、母親から嫌われているんだそ」
あっ!
あの時のことか。
嬉しい。エーメント殿下が私の為に動いてくださった。
私とお母様やお姉様の仲を取り持とうとしてくれているんだわ。私の為に。
やっぱりエーメント殿下はお優しいわ。
こんな人が婚約者だったらいいのに。きっと幸せな結婚生活が待っているんでしょうね。
いいなぁ、お姉様は。
どうしてお姉様ばっかり。
「殿下が口を出すことではありません」
お姉様は聞く耳を持たない。
どうして私はお姉様に嫌われているのでしょう。
この後もエーメント殿下とお姉様の口論は平行線のまま続いた。
結局、お姉様は態度を改めようとせずエーメント殿下は怒りながら帰って行った。
エーメント殿下には後で謝罪とお礼の手紙を書こう。
どうして私がお姉様のフォローをしないといけないのかしら。
神様って本当に不公平だわ。
「ご満足いただけましたか?」
「えっ?」
考え事をしていたせいでイスファーンが前から来ていることに全く気づかなかった。
正直、彼が苦手なのよね。
何だか笑っているようで冷めているような目とか。
不気味だし、何を考えているか分からないし。
いいえ、人に対してそのように考えるのはいけないことね。
「イスファーン、満足って?どういう意味かしら?」
「誤魔化さなくて結構ですよ。エーメント殿下とイリス様を仲違いさせる為に嘘を吹き込んだのでしょう」
酷い。
私がお母様から愛されていないのも、お姉様に嫌われているのも本当のことなのに。
嘘だなんて。
「嘘なんて言ってないわ。人に嘘をつくのはいけないことでしょう」
「では、おバカさんなんですね」
「!?」
どうしてイスファーンはいつも私にだけは意地悪なんだろうか。お姉様には優しいのに。もしかしてお姉様が私の悪口をイスファーンに刷り込ませているのかな?
イスファーンは純粋そうだし、お姉様のことを慕っているみたいだからきっとお姉様の言うことを何でも素直に受け入れているんでしょうね。だったらレミット公爵家の一人としてそれは間違いだと教えてあげなくてはいけないわよね。
「イスファーン、あのね」
「エーメント殿下はイリス様よりもアリシア様に気がおありのご様子」
「えっ」
まさかの言葉に私は頬が一気に赤くなるのを感じた。だって、もしそうなら嬉しい。
お姉様には申し訳ないけど、でもいいわよね。
お姉様はエーメント殿下のことを愛していなさそうだし、両想いなら何も問題はないはず。
「そ、そうかしら」
とても嬉しいことを言われたのでこの時の私はイスファーンがとても冷たい目で私を見ていたことに気づかなかった。もし、気づいていたらこの先の未来、何か変わったかもしれないのに。
「だからエーメント殿下は真相を確かめる前に婚約者であるイリス様ではなくアリシア様を庇われた。エーメント殿下はこの先、どうなさるでしょうね」
「どうとは?」
イスファーンは私に近づいて来て、耳元で囁いた。
「アリシア様を虐めるイリス様には王太子妃には相応しくないと思うでしょうね。エーメント殿下はアリシア様こそご自分の妃に相応しいと思われるかもしれません」
それはとても甘い毒。
「そんな、こと」
否定しようとしてできない私にイスファーンは一歩離れて微笑む。
「あくまで可能性の話です」
そう、可能性の話
でも来るかもしれない未来の話
「殿下が穿った見方をしているからではありませんか?」
ある日、エーメント殿下とお姉様が喧嘩をしていた。
お姉様ったら、めったに会われないのだからたまに会う日ぐらい仲良くすればいいのに。
私だったら毎日会いたいし、会った日は楽しく過ごしたい。
やっぱり私の方がエーメント殿下を愛しているわ。
「アリシアは君の妹ではないか」
私?
私のことで喧嘩をしているの?
でも、どうして?
「だから何だと言うのですか?片方の言い分のみを聞いて、責め立てるのはおやめ下さい」
「君はアリシアが可哀想だとは思わないのか?公爵夫人から、母親から嫌われているんだそ」
あっ!
あの時のことか。
嬉しい。エーメント殿下が私の為に動いてくださった。
私とお母様やお姉様の仲を取り持とうとしてくれているんだわ。私の為に。
やっぱりエーメント殿下はお優しいわ。
こんな人が婚約者だったらいいのに。きっと幸せな結婚生活が待っているんでしょうね。
いいなぁ、お姉様は。
どうしてお姉様ばっかり。
「殿下が口を出すことではありません」
お姉様は聞く耳を持たない。
どうして私はお姉様に嫌われているのでしょう。
この後もエーメント殿下とお姉様の口論は平行線のまま続いた。
結局、お姉様は態度を改めようとせずエーメント殿下は怒りながら帰って行った。
エーメント殿下には後で謝罪とお礼の手紙を書こう。
どうして私がお姉様のフォローをしないといけないのかしら。
神様って本当に不公平だわ。
「ご満足いただけましたか?」
「えっ?」
考え事をしていたせいでイスファーンが前から来ていることに全く気づかなかった。
正直、彼が苦手なのよね。
何だか笑っているようで冷めているような目とか。
不気味だし、何を考えているか分からないし。
いいえ、人に対してそのように考えるのはいけないことね。
「イスファーン、満足って?どういう意味かしら?」
「誤魔化さなくて結構ですよ。エーメント殿下とイリス様を仲違いさせる為に嘘を吹き込んだのでしょう」
酷い。
私がお母様から愛されていないのも、お姉様に嫌われているのも本当のことなのに。
嘘だなんて。
「嘘なんて言ってないわ。人に嘘をつくのはいけないことでしょう」
「では、おバカさんなんですね」
「!?」
どうしてイスファーンはいつも私にだけは意地悪なんだろうか。お姉様には優しいのに。もしかしてお姉様が私の悪口をイスファーンに刷り込ませているのかな?
イスファーンは純粋そうだし、お姉様のことを慕っているみたいだからきっとお姉様の言うことを何でも素直に受け入れているんでしょうね。だったらレミット公爵家の一人としてそれは間違いだと教えてあげなくてはいけないわよね。
「イスファーン、あのね」
「エーメント殿下はイリス様よりもアリシア様に気がおありのご様子」
「えっ」
まさかの言葉に私は頬が一気に赤くなるのを感じた。だって、もしそうなら嬉しい。
お姉様には申し訳ないけど、でもいいわよね。
お姉様はエーメント殿下のことを愛していなさそうだし、両想いなら何も問題はないはず。
「そ、そうかしら」
とても嬉しいことを言われたのでこの時の私はイスファーンがとても冷たい目で私を見ていたことに気づかなかった。もし、気づいていたらこの先の未来、何か変わったかもしれないのに。
「だからエーメント殿下は真相を確かめる前に婚約者であるイリス様ではなくアリシア様を庇われた。エーメント殿下はこの先、どうなさるでしょうね」
「どうとは?」
イスファーンは私に近づいて来て、耳元で囁いた。
「アリシア様を虐めるイリス様には王太子妃には相応しくないと思うでしょうね。エーメント殿下はアリシア様こそご自分の妃に相応しいと思われるかもしれません」
それはとても甘い毒。
「そんな、こと」
否定しようとしてできない私にイスファーンは一歩離れて微笑む。
「あくまで可能性の話です」
そう、可能性の話
でも来るかもしれない未来の話