好きを極めた乙女の駆け引き
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今日、4月1日は、春休み期間で学校はお休み。
けれど、入学式に向けて風紀委員としての仕事があり、わたしは登校してきた。
15時を回る頃にはその仕事も終わり、帰るだけとなったのだけど……。
「御園。帰る前に第2倉庫へ寄ってくれないか。予備の椅子がないか見てきてほしいんだ。あれば、あとで俺が取りにいくから」
先生に頼まれて、第2倉庫へ寄ることにした。
寄るといっても、荷物は教室に置いていく。第2倉庫は校門とは正反対にあるので。
第2倉庫に到着して、軽く見まわす。
椅子、椅子、と。……あっ、これかな。
わたしたち生徒が授業で使っている椅子と同じものが1脚、置いてある。ホコリも被っておらずきれいな状態だ。
あればあとで取りにいくと言っていたから、「ある」とだけ報告に行けばいいのかな。
戻ろうとしたとき、部屋の奥でもぞっとなにかが動く気配がした。
「だれ?」
顔を出した。そこにいたのは――。
「せ、生徒会長!?」
「……なんだ、御園か」