好きを極めた乙女の駆け引き

「な、ななな……。こんなところで、なにしてるの!?」

「寝てたんだよ。保健室はサッカー部どもがいてうるさくてな」

「寝てたって……」


ここ、仮にも倉庫ですよ? しかも、1じゃなくて2。サブ扱いの倉庫ですよ。

まあ、倉庫というわりにはホコリが被ってなくてきれいですが……。


「あー、ねみー。そろそろ仕事おわってっかな」

「ははあ、そういうことですの。サボっていたのですね、生徒会長ともあろうお方が。堕落したものですわ、うちの学校も。こんな男に、生徒会長を任せるなんて」

「もういいよ、その喋り方やめろ。うぜー」

「……」


もうすっかり生徒会長の仮面は取ってますね。


「ご希望とあらばやめさせていただくけどね。こんなところで寝ないでよ。ここ、数年前までは、カップルの密会部屋、なんて呼ばれてたけど、歴代の風紀委員長のおかげで今や――」

「なんだよ密会部屋って。ヤり部屋だろ」

「言葉を濁せ!」


仮面が外れたら、そこにいるのはデリカシーのない無気力男。

だけど、そんな裏表の激しさに、これまたキュンときちゃうんだよ。わたしはダメ男ホイホイ女だ。

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