その執着は、花をも酔わす 〜別れた御曹司に迫られて〜
「重役審査の時には資料に名前は掲載されていない。プレゼンも開発部の人間が一次審査の内容をもとに代理で行うんだ。結果が発表されて、初めて君の企画だと知ったんだ」
審査が完全なブラインド形式であるという意味だ。
「じゃあ……」
柳さんはコクリと頷く。
「社長は純粋に、君の企画の内容だけを見て推していたんだよ」
「会社の業績にも関わることを、俺の一存で決めるわけがないだろ?」
「でも……私なんかをいきなり秘書にしたし」
「それは……」
彼は言いかけて、ため息をつく。
「仕方がないが、信用されてないんだな」
ああ、なんだかもう、感情がぐちゃぐちゃでよくわからない。
彼に対しても、自分に対しても。
息が苦しい。
「私……」
謝りたいのに、どうしたらいいのかわからない。
「信用したいのに……」
どうしても過去が邪魔をする。
彼が見かねたようなため息をつく。
「柳、今日この後の俺と彼女の予定は全てキャンセルにさせてもらいたい」
「え!? は、はいっ」
そう言って慌てる柳さんを尻目に、彼は私を自分の車へと引っ張って行った。
「え……どこに行くんですか?」
「君とは、こうやって誤解が生じて来たんだな。俺たちはきちんと話し合うべきだ」
行き先の質問への答えにはなっていない。
審査が完全なブラインド形式であるという意味だ。
「じゃあ……」
柳さんはコクリと頷く。
「社長は純粋に、君の企画の内容だけを見て推していたんだよ」
「会社の業績にも関わることを、俺の一存で決めるわけがないだろ?」
「でも……私なんかをいきなり秘書にしたし」
「それは……」
彼は言いかけて、ため息をつく。
「仕方がないが、信用されてないんだな」
ああ、なんだかもう、感情がぐちゃぐちゃでよくわからない。
彼に対しても、自分に対しても。
息が苦しい。
「私……」
謝りたいのに、どうしたらいいのかわからない。
「信用したいのに……」
どうしても過去が邪魔をする。
彼が見かねたようなため息をつく。
「柳、今日この後の俺と彼女の予定は全てキャンセルにさせてもらいたい」
「え!? は、はいっ」
そう言って慌てる柳さんを尻目に、彼は私を自分の車へと引っ張って行った。
「え……どこに行くんですか?」
「君とは、こうやって誤解が生じて来たんだな。俺たちはきちんと話し合うべきだ」
行き先の質問への答えにはなっていない。