その執着は、花をも酔わす 〜別れた御曹司に迫られて〜
「だけど今、君はこうしてここにいる」
彼は私を見つめる。彼の頬の温もりが伝わる。

「七年間必死で働いて、碇ビールの社長になった。君を迎えに来るために」
心臓が先ほどまでとは違う音を奏で始める。

「今度こそ、ちゃんと君を守れるようになっているはずだ」
彼が私の手に口づける。

「結婚しよう、花音。再会して確信した。誰に反対されても、君のいない人生は考えられない」

「……」
「花音?」

七年分の涙が溢れてしまって、喉が熱くて、上手く言葉が出てこない。
それでも気持ちを伝えたくてコクコクと、必死に頷く。
「あなたが……すき……」

〝もう一度私を見つけてくれて、ありがとう〟

彼が私を抱きしめる。

それから、目元や頬に優しいキスをくれた。


彼に抱え上げられて、ベッドに運ばれる。

「ずっと触れたくてたまらなかった」

彼が私の頬を指で撫でながら言う。

ブラウスのボタンが一つ一つ外され、彼が胸元に唇を落とす。

身体がピクっと反応してしまう。

「変わらないな」

クスッと笑われる。
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