雨降る夜に君を想う
3回目の雨降る夜に
それからというもの、CMが完成したことでぱったりと蓮くんに会う事は無くなった。
寂しかったけど、仕事が以前より一層忙しくなっていたので、蓮くんの事を考える時間は以前より減っていた。それでもまだ蓮くんの事を忘れる事は出来なかった。
3ヶ月がすぎた頃だった。私はいつものように仕事をして、疲れたから紅茶でも飲もうと、職場にあるポットの水が沸騰するのをぼーっと立って待っていた。
「二宮さん?!大丈夫ですか!しっかりしてください!二宮さん!!!」
突然そんな和田くんの声が聞こえてくる。大丈夫だよと言いたいのに私は返事をすることもできず、和田くんの声がだんだんと遠くなっていく。私はそのまま意識を失った。
気がついたらベッドの上にいた。
「ここどこ?」
目が覚めると目の前には絵梨奈がいた。
「怜?!やっと目を覚ました。もうこのまま起きなかったらどうしようかと思ったよ〜。今先生呼ぶからね。」
そう言って泣いている。
私は職場で倒れて、救急車で運ばれたらしい。
窓の外はもう暗かった。時計を見ると、19時を回ったところだった。このままだと祐介の晩ご飯の支度、出来そうにないな〜そんな事を考えていると、病室に先生が入ってきた。
「二宮さ〜ん、起きられましたね。多分過労だとは思いますが、明日念のため精密検査をするので、今日はこのまま1日入院してください。」
そう言って医者は部屋を出て行った。
すると医者と入れ替わるようにして、部屋に誰かが入ってきた。
悠人くんと、、蓮くんだった。
久しぶりに会う蓮くんは相変わらずカッコよくてドキドキした。でもスーツの襟が変なことになっていて、急いで駆けつけてくれたのかな、って少し嬉しくなった。
ダメだ私、まだ蓮くんの事全然忘れられてないじゃん。そう思って、蓮くんから目が離せない。それに気がついた絵梨奈が、
"もう2人が次会うのいつになるかわからないだろうから少し2人で話したら"
そう私に耳打ちして、
「私と悠人は下の売店で飲み物買ってくるから蓮くんは怜と待ってて。」
そう言うと絵梨奈は、なんで?!って顔をしている悠人くんを引っ張って病室を出て行った。
「大丈夫?」
心配そうに蓮くんが聞く。
「大丈夫だよ!明日一応検査するけど、ただの疲れだと思う。最近忙しかったからさ。」
「そっか。あんまり無理したらダメだよ、体が1番だから。」
そんなありきたりなセリフでさえ、蓮くんに言われると嬉しくなる。
「そうだね。ありがとう。」
嬉しさを見せないようにさらりと言う。
「あれ、また雨降ってる。」
ふと窓の外をみると、雨が降っていた。
「ほーんと、蓮くんは雨男だね〜」
そういうと、
「今日も怜さんの気持ちが足りないんじゃない?」
そんな意味ありげとも取れるセリフを蓮くんが笑いながら言うけど、気づかないふりをして笑って誤魔化す。
「てか、何も手土産持ってこられなくてごめん。」
そう言うので、
「そんなの気にしないで、1日入院するだけだし、急いで会社から駆けつけてくれたんでしょ?」
ほら、と言って襟を指差す。
あれ、ほんとだ、と言って襟を直そうとするけど手が届かなくて手こずっていた。
私はそっと蓮くんのスーツの襟に手を伸ばす。少し蓮くんの手が触れて、慌てて手を引っ込めた。
「ごめん。」
私はそう言って俯いた。
すると、蓮くんの手が私の頬を包んだ。
そして私に顔を上げさせた。
「そんな悲しい顔しないでほしい。いつもの楽しそうな無邪気な怜さんが見たい」
そう言ったところで突然病室のドアが開く。咄嗟に蓮くんが手を引っ込めた。
「怜!」
そう言って祐介は蓮くんの存在にも気付かずに私の元に向かってきて、いつものように私を抱きしめる。
「会いたかった、、、怜が倒れたって聞いて、もう俺どうしようかと思った。もう仕事放って出てきた、、、」
蓮くんの見ている前で、いつものように祐介の事を抱きしめ返す事は出来なかった。蓮くんの方を見ると、なんとも言えない切ない表情で私達のことを見ていた。
祐介が蓮くんの存在に気がついて、私から離れる。きっとあの夜の相手が蓮くんだって、祐介は気づいただろうな。
祐介に隠れて蓮くんと会ってたと思われたくなくて、
「取引先の成瀬さん。今、絵梨奈が彼氏と売店行ってるんだけど、成瀬さんはその彼氏と一緒に仕事終わりに寄ってくれたの。」
そう言うと、
「そっか、いつも妻がお世話になっております。この度は妻がご心配おかけしました。」
そう言って祐介は頭を深々と下げる。
彼が私の不倫相手って知ってるはずなのに、祐介は大人だなぁ。
「こちらこそ、二宮さんにはいつもお世話になっております。」
そう言って蓮くんも深く頭を下げる。
その後すぐに絵梨奈と悠人くんが戻ってきて、絵梨奈は、祐介くんがいれば安心だから帰るね、と言って3人は帰って行った。
帰る時も、蓮くんの襟は変なふうに折れ曲がったままで、彼の後ろ姿を見ていたら、なんだか切なくなった。
もうその頃には雨は止んでいた。
寂しかったけど、仕事が以前より一層忙しくなっていたので、蓮くんの事を考える時間は以前より減っていた。それでもまだ蓮くんの事を忘れる事は出来なかった。
3ヶ月がすぎた頃だった。私はいつものように仕事をして、疲れたから紅茶でも飲もうと、職場にあるポットの水が沸騰するのをぼーっと立って待っていた。
「二宮さん?!大丈夫ですか!しっかりしてください!二宮さん!!!」
突然そんな和田くんの声が聞こえてくる。大丈夫だよと言いたいのに私は返事をすることもできず、和田くんの声がだんだんと遠くなっていく。私はそのまま意識を失った。
気がついたらベッドの上にいた。
「ここどこ?」
目が覚めると目の前には絵梨奈がいた。
「怜?!やっと目を覚ました。もうこのまま起きなかったらどうしようかと思ったよ〜。今先生呼ぶからね。」
そう言って泣いている。
私は職場で倒れて、救急車で運ばれたらしい。
窓の外はもう暗かった。時計を見ると、19時を回ったところだった。このままだと祐介の晩ご飯の支度、出来そうにないな〜そんな事を考えていると、病室に先生が入ってきた。
「二宮さ〜ん、起きられましたね。多分過労だとは思いますが、明日念のため精密検査をするので、今日はこのまま1日入院してください。」
そう言って医者は部屋を出て行った。
すると医者と入れ替わるようにして、部屋に誰かが入ってきた。
悠人くんと、、蓮くんだった。
久しぶりに会う蓮くんは相変わらずカッコよくてドキドキした。でもスーツの襟が変なことになっていて、急いで駆けつけてくれたのかな、って少し嬉しくなった。
ダメだ私、まだ蓮くんの事全然忘れられてないじゃん。そう思って、蓮くんから目が離せない。それに気がついた絵梨奈が、
"もう2人が次会うのいつになるかわからないだろうから少し2人で話したら"
そう私に耳打ちして、
「私と悠人は下の売店で飲み物買ってくるから蓮くんは怜と待ってて。」
そう言うと絵梨奈は、なんで?!って顔をしている悠人くんを引っ張って病室を出て行った。
「大丈夫?」
心配そうに蓮くんが聞く。
「大丈夫だよ!明日一応検査するけど、ただの疲れだと思う。最近忙しかったからさ。」
「そっか。あんまり無理したらダメだよ、体が1番だから。」
そんなありきたりなセリフでさえ、蓮くんに言われると嬉しくなる。
「そうだね。ありがとう。」
嬉しさを見せないようにさらりと言う。
「あれ、また雨降ってる。」
ふと窓の外をみると、雨が降っていた。
「ほーんと、蓮くんは雨男だね〜」
そういうと、
「今日も怜さんの気持ちが足りないんじゃない?」
そんな意味ありげとも取れるセリフを蓮くんが笑いながら言うけど、気づかないふりをして笑って誤魔化す。
「てか、何も手土産持ってこられなくてごめん。」
そう言うので、
「そんなの気にしないで、1日入院するだけだし、急いで会社から駆けつけてくれたんでしょ?」
ほら、と言って襟を指差す。
あれ、ほんとだ、と言って襟を直そうとするけど手が届かなくて手こずっていた。
私はそっと蓮くんのスーツの襟に手を伸ばす。少し蓮くんの手が触れて、慌てて手を引っ込めた。
「ごめん。」
私はそう言って俯いた。
すると、蓮くんの手が私の頬を包んだ。
そして私に顔を上げさせた。
「そんな悲しい顔しないでほしい。いつもの楽しそうな無邪気な怜さんが見たい」
そう言ったところで突然病室のドアが開く。咄嗟に蓮くんが手を引っ込めた。
「怜!」
そう言って祐介は蓮くんの存在にも気付かずに私の元に向かってきて、いつものように私を抱きしめる。
「会いたかった、、、怜が倒れたって聞いて、もう俺どうしようかと思った。もう仕事放って出てきた、、、」
蓮くんの見ている前で、いつものように祐介の事を抱きしめ返す事は出来なかった。蓮くんの方を見ると、なんとも言えない切ない表情で私達のことを見ていた。
祐介が蓮くんの存在に気がついて、私から離れる。きっとあの夜の相手が蓮くんだって、祐介は気づいただろうな。
祐介に隠れて蓮くんと会ってたと思われたくなくて、
「取引先の成瀬さん。今、絵梨奈が彼氏と売店行ってるんだけど、成瀬さんはその彼氏と一緒に仕事終わりに寄ってくれたの。」
そう言うと、
「そっか、いつも妻がお世話になっております。この度は妻がご心配おかけしました。」
そう言って祐介は頭を深々と下げる。
彼が私の不倫相手って知ってるはずなのに、祐介は大人だなぁ。
「こちらこそ、二宮さんにはいつもお世話になっております。」
そう言って蓮くんも深く頭を下げる。
その後すぐに絵梨奈と悠人くんが戻ってきて、絵梨奈は、祐介くんがいれば安心だから帰るね、と言って3人は帰って行った。
帰る時も、蓮くんの襟は変なふうに折れ曲がったままで、彼の後ろ姿を見ていたら、なんだか切なくなった。
もうその頃には雨は止んでいた。