雨降る夜に君を想う
止められない想い
次の日になっても、蓮くんからラインはなかった。
私は蓮くんのことを忘れるかのように、仕事に励んだ。仕事をしている間は、蓮くんのことを考えずに済んだから。
「怜〜!ただいま〜!」
玄関から声がする。2日ぶりに、福岡から祐介が帰ってきた。
「怜がいなくて寂しかった〜、、」
そう言って今日も玄関で私を抱きしめる。
「今日の夜ご飯は野菜の肉巻きと、裕介が大好きなお刺身たくさん買ってきたよ。」
そういうと、喜んでリビングに走っていく。いつもと変わらぬ祐介の無邪気さにホッとして笑みが溢れる。私は祐介の革靴を靴箱にしまって、祐介の後を追った。
私が作ったご飯を、美味しい美味しいと言いながら毎日食べてくれる。こんな祐介を裏切って、私はなんて最低なんだ。そうわかっていながらも、気付いたらすぐに蓮くんのことを考えてしまっていた。
「そういえば、昨日の飲み会どうだった?」
突然聞かれて驚いてしまった。
「えっ?」
「昨日、クライアント先の人と4人で飲みにいったんでしょ?」
「あ、うん。楽しかったよー!!同い年かと思ったら私達の2.3個下で、びっくりしちゃった。でもすごく仲良くなって、4人でまたプライベートで遊ぼう、って話してるんだけど、祐介そう言うの嫌かな?」
「全然いいよー!俺だって自由にさせてもらってるし、お互いそういうのはOKにしてるじゃん?俺は、怜が俺のことを好きでいてくれたら何でもいい〜!」
そう言う祐介に、胸が痛くなった。こんな気持ちでいるうちは、もうあの4人で遊ばないほうがいいかな。そう思うものの、蓮くんに会いたいと思う気持ちを抑えられず、4人で遊ぶ事を断ることは出来なかった。2人じゃないからいいよね。ずっと4人で遊んでいればそのうち友達って割り切れるはず。そう自分に無理に言い聞かせた。
それからしばらくして、トヨテと打ち合わせの日がやってきた。この最近、わたしは仕事をしている時以外はほとんど蓮くんのことを考えてしまうほど、蓮くんへの気持ちが大きくなっていた。こんな事は初めてだった。
今まで何人かの人と付き合った経験はあるけど、ここまで誰かの事をずっと考え続ける日々を送った事はない。付き合ってる時は、その人の事を好きって思っていたけど、今思えばそんなに好きじゃなかったんだろうな。
もちろん祐介のことは、世界で1番大切な人だし、愛おしくて大好きだ。
でも祐介への好きは、"愛"に近い"好き"で、
蓮くんへの気持ちは、"恋"に近い"好き"なんだと思う。
"愛"の好きは、きっと一生冷めないけど、"恋"の好きはいつか冷める。
そう無理に自分に言い聞かせる。
打ち合わせ中も、蓮くんはこの前のことなんてなかったように私に接してくる。
気にしてるのは私だけか、、、きっと蓮くんはモテるし珍しいことじゃなかったんだろうな。そんな事を考えていると、
「二宮さん、役者の候補なんですが、今週中に送って頂くことは可能ですか?」
突然そう名指しで言われて一瞬ドキッとした。
「大丈夫です。なるべく早くお送り致します。オーディションは、来週開催ということでよろしいでしょうか?」
「こちらは大丈夫です。会場は、コンペの時に使った会議室を使えます。」
みんな、まさか私達があの夜あんな事をしていたなんて全く気が付かないだろうな。それにしても蓮くん、何事もなかったように誤魔化すの上手だな〜。慣れてるのかな。色んな女にこういうことしてるのかな。根拠のない考えがぐるぐると頭をよぎった。だめだ。仕事に集中しなきゃ!私は何としてもこのCMを成功させたいんだ。
それからはCMのことだけを考えて、打ち合わせに集中した。
何とか終わって、うちの会社の6人はトヨテ本社を後にする。
絵梨奈が声をかけてきた。
「そういえばこの前蓮くんとあの後大丈夫だった?」
そう聞かれ、ドキッとする。
「どうって?」
「だってあの後突然大雨降ってきたじゃん。」
「あ、大丈夫だったよ、雨降ってきたの、うちに着く直前だったし。絵梨奈たちは大丈夫だった?」
そう誤魔化した。絵梨奈にあの時の事を言わないのは気が引けるけど、勝手に言うのは蓮くんにも悪いし、4人の仲を壊すことになるかもしれない。そう思って今はあえて言わないことにした。
「そっか〜。うちら実はあの後2人で飲み直してさ、、、」
「え?!悠人くんと?!もしかして悠人くんといい感じなの?」
「そうそう、悠人くんと。全くいい感じではないよ、めっちゃいい男友達って感じ。私はやっぱり蓮くんがいいな〜。でも流れで蓮くんが怜を送っていくってなっちゃったからさ、ちょっと残念だった。怜が既婚者じゃなかったら嫉妬してた所だったよ。」
絵梨奈はそう言って笑うけど、私はドキッとしてしまった。ていうか、絵梨奈も蓮くんのことが好きなんだ、、、と、絵里奈に申し訳ない気持ちと、私の方が蓮くんが好きっていう気持ちと、私また何考えちゃってるんだろう、私には絵梨奈が言う通り裕介がいる。そんな風に色んな気持ちが入り混ざって複雑な気持ちに泣きたくなった。
だめだ、情緒不安定になってる。
今週末、みんなで横浜のクリスマスマーケットに行くことは決まってるからそれは行くけど、それを最後に、次からは何か理由をつけて断ろう。このままじゃだめだ。
私はそう決意した。
私は蓮くんのことを忘れるかのように、仕事に励んだ。仕事をしている間は、蓮くんのことを考えずに済んだから。
「怜〜!ただいま〜!」
玄関から声がする。2日ぶりに、福岡から祐介が帰ってきた。
「怜がいなくて寂しかった〜、、」
そう言って今日も玄関で私を抱きしめる。
「今日の夜ご飯は野菜の肉巻きと、裕介が大好きなお刺身たくさん買ってきたよ。」
そういうと、喜んでリビングに走っていく。いつもと変わらぬ祐介の無邪気さにホッとして笑みが溢れる。私は祐介の革靴を靴箱にしまって、祐介の後を追った。
私が作ったご飯を、美味しい美味しいと言いながら毎日食べてくれる。こんな祐介を裏切って、私はなんて最低なんだ。そうわかっていながらも、気付いたらすぐに蓮くんのことを考えてしまっていた。
「そういえば、昨日の飲み会どうだった?」
突然聞かれて驚いてしまった。
「えっ?」
「昨日、クライアント先の人と4人で飲みにいったんでしょ?」
「あ、うん。楽しかったよー!!同い年かと思ったら私達の2.3個下で、びっくりしちゃった。でもすごく仲良くなって、4人でまたプライベートで遊ぼう、って話してるんだけど、祐介そう言うの嫌かな?」
「全然いいよー!俺だって自由にさせてもらってるし、お互いそういうのはOKにしてるじゃん?俺は、怜が俺のことを好きでいてくれたら何でもいい〜!」
そう言う祐介に、胸が痛くなった。こんな気持ちでいるうちは、もうあの4人で遊ばないほうがいいかな。そう思うものの、蓮くんに会いたいと思う気持ちを抑えられず、4人で遊ぶ事を断ることは出来なかった。2人じゃないからいいよね。ずっと4人で遊んでいればそのうち友達って割り切れるはず。そう自分に無理に言い聞かせた。
それからしばらくして、トヨテと打ち合わせの日がやってきた。この最近、わたしは仕事をしている時以外はほとんど蓮くんのことを考えてしまうほど、蓮くんへの気持ちが大きくなっていた。こんな事は初めてだった。
今まで何人かの人と付き合った経験はあるけど、ここまで誰かの事をずっと考え続ける日々を送った事はない。付き合ってる時は、その人の事を好きって思っていたけど、今思えばそんなに好きじゃなかったんだろうな。
もちろん祐介のことは、世界で1番大切な人だし、愛おしくて大好きだ。
でも祐介への好きは、"愛"に近い"好き"で、
蓮くんへの気持ちは、"恋"に近い"好き"なんだと思う。
"愛"の好きは、きっと一生冷めないけど、"恋"の好きはいつか冷める。
そう無理に自分に言い聞かせる。
打ち合わせ中も、蓮くんはこの前のことなんてなかったように私に接してくる。
気にしてるのは私だけか、、、きっと蓮くんはモテるし珍しいことじゃなかったんだろうな。そんな事を考えていると、
「二宮さん、役者の候補なんですが、今週中に送って頂くことは可能ですか?」
突然そう名指しで言われて一瞬ドキッとした。
「大丈夫です。なるべく早くお送り致します。オーディションは、来週開催ということでよろしいでしょうか?」
「こちらは大丈夫です。会場は、コンペの時に使った会議室を使えます。」
みんな、まさか私達があの夜あんな事をしていたなんて全く気が付かないだろうな。それにしても蓮くん、何事もなかったように誤魔化すの上手だな〜。慣れてるのかな。色んな女にこういうことしてるのかな。根拠のない考えがぐるぐると頭をよぎった。だめだ。仕事に集中しなきゃ!私は何としてもこのCMを成功させたいんだ。
それからはCMのことだけを考えて、打ち合わせに集中した。
何とか終わって、うちの会社の6人はトヨテ本社を後にする。
絵梨奈が声をかけてきた。
「そういえばこの前蓮くんとあの後大丈夫だった?」
そう聞かれ、ドキッとする。
「どうって?」
「だってあの後突然大雨降ってきたじゃん。」
「あ、大丈夫だったよ、雨降ってきたの、うちに着く直前だったし。絵梨奈たちは大丈夫だった?」
そう誤魔化した。絵梨奈にあの時の事を言わないのは気が引けるけど、勝手に言うのは蓮くんにも悪いし、4人の仲を壊すことになるかもしれない。そう思って今はあえて言わないことにした。
「そっか〜。うちら実はあの後2人で飲み直してさ、、、」
「え?!悠人くんと?!もしかして悠人くんといい感じなの?」
「そうそう、悠人くんと。全くいい感じではないよ、めっちゃいい男友達って感じ。私はやっぱり蓮くんがいいな〜。でも流れで蓮くんが怜を送っていくってなっちゃったからさ、ちょっと残念だった。怜が既婚者じゃなかったら嫉妬してた所だったよ。」
絵梨奈はそう言って笑うけど、私はドキッとしてしまった。ていうか、絵梨奈も蓮くんのことが好きなんだ、、、と、絵里奈に申し訳ない気持ちと、私の方が蓮くんが好きっていう気持ちと、私また何考えちゃってるんだろう、私には絵梨奈が言う通り裕介がいる。そんな風に色んな気持ちが入り混ざって複雑な気持ちに泣きたくなった。
だめだ、情緒不安定になってる。
今週末、みんなで横浜のクリスマスマーケットに行くことは決まってるからそれは行くけど、それを最後に、次からは何か理由をつけて断ろう。このままじゃだめだ。
私はそう決意した。