都合のいいオトコ

「食べてるよ。……そういえばマイちゃん、クリスマスプレゼントに欲しいものはある?」

「……え?」

「マイちゃん、耳にピアスの穴はあるのにつけてないから、僕的にはピアスを贈ろうかなって思ってるんやけど。好きなブランドはある?」

「……金属アレルギーやからピアスはつけへんよ」

「金属アレルギーでも18金とかならつけれるんやないん?」

ハライシさん、お金ないのに何言うてるんやろ。これ以上、店に来続けたら生活も苦しくなるはずやのに、クリスマスプレゼントって……。

「ハライシさん、カードとめられてんちゃうの?」

聞いてられなくなって、思わず、ハライシさんの声をさえぎり、そのことに関して口を挟んだ。

“間違っても金についての話はすんなよ。男にはプライドがあるから、そんな話はされたくないはずや”

店長はああ言うてたけど、知ってて知らんふりなんかできへん。

「プレゼントなんていらんし、無理してまで通わんでいいから。生活費は大丈夫なん? 払えてる?」

心配やった。

いつも余裕があったハライシさんが、無理をしてて、それでも平気そうに振る舞ってるから、黙ってられへんかった。
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