都合のいいオトコ
「アホちゃうか。連絡もとってへんくせに」
ミツルは、元カレの言葉やのにって言いたいんやと思う。
でも、私は「夜に染まったらあかん」と言われたとき、嬉しかったし、自分もそうでありたいと考えてた。
「別に、その考え自体はアホちゃうやろ」
「こんな生活しとったら体壊す」
「……寝てるし」
「寝れてんのは俺が送り迎えしてるからやろ」
「……っ」
返す言葉がなかった。その通りやったから。
ミツルのおかげで、私は眠れてる。ミツルがおらんかったら、私は体を壊してたんかもしれん。
でも……。
「じゃあもういいよ。送り迎えせんでええ」
「そういうこと言うてんちゃうやろ。金がいるなら、仕事は夜だけにしとけ言うてんねん」
ミツルは両立をやめさせようとする。
でも私は、マコトとの約束を破りたくなかった。
「……夜に染まるんは嫌や」
声を振り絞って、返した言葉。
私の返事に、ミツルは深いため息をつく。
「マコトマコトって……。もう終わってるやろ、そいつとは」
「……終わってへん」
「終わってる。誕生日には連絡が来るって? じゃあそれまで、そいつは何してんねん!」
初めて耳にする、ミツルの怒鳴り声。
見ないようにして目を伏せてたところを、えぐり出されて突きつけられる。