都合のいいオトコ
「……放っといてよ」
それ以上言わんでほしかった。
でも、ミツルの口は全く止まらんかった。
「“マコトとは一度もシてへんから”……だからなんやねん? そいつ他でヤッてるだけやろ」
「……っ。もうやめて」
「そんなヤツがテキトーに並べとった言葉、真に受けてんな! そいつ絶対に言うたことも覚えてへんで!」
「うるさい! マコトの何を知ってん!? なんも知らんくせに!」
聞いてられんくなって怒鳴り返してもうた。
そしたらミツルは──
「知らんな、そんなヤツ。……でもお前のことは知っとる」
そう言って、立ち上がり、ゆっくり私のそばへと歩いてくる。そんで、目の前にきてから続きを口にした。
「くだらんヤツをアホみたいに待って、ひとりでビービー泣いてるクソ女やろ?」
うんざりした表情で見下される。
「……」
ひどい言われようやなと思った。
ずっとそんなふうに思われてたんかと。
でも言い返すこともできへん。何を言うてもわかってなんかもらえるわけないから。
「夜だけにすんのが嫌なら、昼だけにしたらええやん」
ミツルは再び、両立について言及してくる。
私もうんざりやった。
こんな生活、好きでやってるわけじゃないのに、なんでここまで責められなあかんのかと、イライラしてた。
「昼じゃお金たまらん」
「他の仕事を探したらええ話やろ」
「……もう放っといてよ」
なんでそこまで口を出してくるん。
彼氏でもないのに。