都合のいいオトコ

「……ごめん。せっかくやけど、今は忙しい時期やからBBQには行けやんわぁ。また落ち着いたら遊ぼー」

「そっかそっか」

ムッちゃんの誘いには、仕事を理由にして断った。

でも、そこからの私は、また、BBQへ行った場合のことを想像する。

行ってたら、ミツルはどんな表情をしたんやろう。私らは楽しく話とか出来るんかな。

ていうか、こんなん考えてても今は彼女がおるんかもしれんし、行ってそれを知るのはちょっと嫌かも。

執筆中、たまにそんなことを考えたりもしてた。


そうして、ミツルとのユニクロでの再会から半年が経った頃、ムッちゃんから飲みに誘われた。

「ムッちゃん久しぶりー!」

「久しぶり! ごめんな、急に呼んで。忙しいのに」

「えーよえーよ。いい気分転換になるから」

地元の駅前ビルに入ってる、大衆居酒屋。

その個室で先に飲んでたムッちゃんは、自分の席を私に譲って、向かいにおる彼氏の隣に座り直した。

「やっぱ、よりを戻したんやなー。おめでとう」

ムッちゃんの隣に笑顔で話しかけた私。

「ありがとう。ごめんな、急に呼び出したりして。仕事中やったんやろ?」

「あー、大丈夫大丈夫。今は締め切りがある仕事はないから。……てか、シューくんと話すのは初めてよな?」

「そうやな、お互いに顔は知ってる状態やったけど」

「シューくん、ユミちゃんの結婚式にもおったやろ?」

「おったおった」

ミツルから、シューくんはムッちゃんに未練があると聞いてたから、私はふたりがより戻したことが嬉しかった。
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