都合のいいオトコ

「マイは、ミツルくんとどういう関係やったん?」

ムッちゃんが問いかけてきた。

「……どうって」

あれをなんと言えばいいのか……。

当時の私は、ミツルの気持ちを薄々と感じながらも、マコトのことがあったから向き合うことも出来ず……。

でも独りでいたくなくて、そばにおってもらえると安心できたから、ズルズルと連絡をとってた。

結局は利用してたんやと思う。ミツルのことを、都合よく。

「マイちゃん、俺な、あの時期のアイツは遊んでると思っててん。でもムッちゃんから聞いて……。キャバ嬢も岸和田の女も全部マイちゃんやったんかって──」

「でももう終わってるから」

シューくんの言おうとしてることがわかって、私は声をさえぎった。

私らは自然消滅やないから。ひどい振り方をして、そこで関係が終わってる。

「……どうせ、マコトさんに邪魔されたんやろ? アントのときみたいに」

ムッちゃんは、その前の彼氏の話を出してきた。

「ちゃうよ。邪魔はされてへん。……私がマコトを選んだだけやの」

泣きながら謝ったあの夜──。

わかったとつぶやいて、私から離れたミツルは、そのまま部屋から出ていった。

私はベッドの上でわんわん泣いて、でも、向き合うことができへんから、終わらせるしかなかった。

「今はもう、マコトさんとは切れてんやろ? ……ミツルくん、彼女おらんねんて。マイもずっと独りやん。1回会ってみぃへん?」

ムッちゃんに続いて、シューくんも言葉を付け足してくる。

「アイツ……あの頃な、居酒屋行っても絶対に飲んでへんかってん。みんなで飲んでるとき、ひとりだけずっと烏龍で。電話かかってきたら“帰るわ”って出ていくけど、家と逆方向の岸和田方面に行っとったんやし」
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