都合のいいオトコ
──ねぇ、ミツル。
キャバ嬢をやめて地元に戻ってから、ばったり遭遇したり、ムッちゃんらから会うこともすすめられて、私は何度も何度もミツルのことを思い出してた。
でも、それを運命とまでは思えんくて、まるで神様か何かのふるいにかけられてるような気持ちになっててん。
会いに行ってたら、私らは戻れたんかな。また一緒におれたんかな。そう考えるときが今でもあるけど……。
もっと違うタイミングで出逢いたかった。マコトとかキャバクラとか、そういうのがない私で出逢いたかった。
もう一度、好きって言われたかったし、私も、好きって言いたかった。
言えなかったから、ミツルはずっと忘れられない人。
【完】