都合のいいオトコ
待つ女
ミツルと出逢ったのは、岸和田の旧26号線沿いにあった小さなダイニングバーやった。
中学んときの同級生──ユミちゃんが結婚し、岸和田の教会で式を挙げ、式場から近いそのバーで二次会が開かれた。
当時の私は「日中は遊園地で、夜は飲み屋」と仕事をふたつ掛け持ちしてる生活で、ほんまは、その日も夜は働く予定やった。
「なぁマイ、頼むわ、夜休んでよぉ。他に喋れる子おらへんねん」
式からの帰り道、一緒に参列しとったナギから、二次会にも出るよう懇願された。
「ハナおったやん。あの子も行くって言うてなかった?」
「ハナとはそこまで仲良くないしー。それに、あの子は高校の子らとおるやん。あの中には入りづらいって!」
ナギが言うてることはわからんでもなかった。
披露宴で、新婦の友人が座るテーブルはふたつあって、ひとつは短大のときの友達って人らでかためられてた。
もうひとつのテーブルには、中学んときの友人として私とナギ。そんで、同中のハナを含む高校んときの友だちって人らが座ってて。
私はユミちゃんと顔を合わせるのは高1んとき以来やから、二次会へは出ない方向で考えててんけど、ナギは私が出席するもんやと思い込んで「出る」って返事をしとったらしい。
私がおらんなったら、ナギはぽつんとひとりで出席することになる。その姿を想像すると、さすがに放ってはおけんくて、結局、私は夜のバイトを休み、二次会にも足を運んだ。
中学んときの同級生──ユミちゃんが結婚し、岸和田の教会で式を挙げ、式場から近いそのバーで二次会が開かれた。
当時の私は「日中は遊園地で、夜は飲み屋」と仕事をふたつ掛け持ちしてる生活で、ほんまは、その日も夜は働く予定やった。
「なぁマイ、頼むわ、夜休んでよぉ。他に喋れる子おらへんねん」
式からの帰り道、一緒に参列しとったナギから、二次会にも出るよう懇願された。
「ハナおったやん。あの子も行くって言うてなかった?」
「ハナとはそこまで仲良くないしー。それに、あの子は高校の子らとおるやん。あの中には入りづらいって!」
ナギが言うてることはわからんでもなかった。
披露宴で、新婦の友人が座るテーブルはふたつあって、ひとつは短大のときの友達って人らでかためられてた。
もうひとつのテーブルには、中学んときの友人として私とナギ。そんで、同中のハナを含む高校んときの友だちって人らが座ってて。
私はユミちゃんと顔を合わせるのは高1んとき以来やから、二次会へは出ない方向で考えててんけど、ナギは私が出席するもんやと思い込んで「出る」って返事をしとったらしい。
私がおらんなったら、ナギはぽつんとひとりで出席することになる。その姿を想像すると、さすがに放ってはおけんくて、結局、私は夜のバイトを休み、二次会にも足を運んだ。