都合のいいオトコ
「……チエリと店長がデキてるのは、なんとなく」
「あははっ! いつからー?」
「んー。前に、花見したやん……店終わってから、みんなで」
「うんうん」
「あんとき、チエリが店からなかなか出てけえへんから、呼びに戻ったんよ。そしたら……」
「あー、なんか見たん?」
「……ううん。ボーイのイタニに止められた」
エレベーター前でバッタリ会ったボーイから、行ったらあかんと言われたことがある。
そのあと、チエリは花見には来うへんくて、送っていったという店長が、花見に合流するのもかなり遅かった。
「……まぁ、みんなもウワサしてるから」
「あははっ。なら、これも知ってるん? 店長には本命がおるってこと」
チエリは笑顔のまま。
笑いながらそういう質問してくるのが、痛々しく見えた。
「……系列におる、あのタトゥーの子?」
以前、うちの店が繁盛して、女の子の数が足らんとき、隣町の系列店からヘルプで何人か来たことがある。
その中に、店長と同棲してる子やと言われてる女の子がおった。
腕に派手なタトゥーを入れてて、色気たっぷりで。
うちの店の女の子らとも仲良しで、チエリを見るときの目がとても怖かった。