都合のいいオトコ
「マイちゃんは、その後、どうなったん?」
「私?」
「うん。マコトくんのこともやけど……ほら、そこまで送ってくれてた男の子おったやろ?」
「あー……、ミツルとはもう終わったと思う」
あれ以来、電話はかけてない。
向こうからもかかってこうへんし、この関係は終わったと言っていいものやと思う。
「えー! 私、期待してたのになぁ。ミツルくんならマイちゃんを幸せにできるんちゃうかって」
シイちゃんは不満げに口を尖らせて、残念がってた。
なんで終わったのか理由を聞かれるから、私は正直に話した。
写真立てをしまわずに見えるところに伏せてたことや、元カレの帰りを待つ現状を打ち明けたってこと。
そして、その朝は普通に見送ってもらったけど、数時間後の夜から態度を変えられてしまった話も。
「……“誰?”かぁ」
「番号を消してたとしても、私のことがわからんわけないしな。声でわかるやろうし。……あれは絶対わからんふりをして、関係を終わらそうとしてるんやと思う」
「うーん……まぁ、そういうふうにもとれるよね」
電車の中、ミツルの話を聞いたシイちゃんは、一点を見つめて考え込む。
「……遅かれ早かれ、こうなってたんかもやし。もういいねんけど」
この話を終わらせようとすると、シイちゃんは再び「うーん」と悩み始めた。