都合のいいオトコ
マンションの下。
車を停めたミツルはジーンズの後ろポケットから、財布を出した。
「……それ、二次会んときにツレから渡された」
札入れから出して、私に手渡してきたのは、男性用の避妊具。
「あんとき声をかけたんは、ただのヤリモクや。……店の客には手ぇ出せやんから、二次会で遊べる女探しただけ」
ミツルはそう言って、私から避妊具を取り、財布の中にしまった。
そして、
「そういうことやから。……俺は、お前の都合のいいオトコになるつもりはない」
と言い切って、冷めた視線を向けてきた。
「……」
だから、関係を終わらそうとしたんか。
ヤリモクで近づいただけの私に、本気やと勘違いされ、都合よく使われそうやと思ったから、腹を立てて、誰かわからんフリをした。
「わかったよ」
ミツルはもうやめたいんやと思った、連絡とることを。
この会話で最後にするため、本来の目的まで話してきたんやなと察した私は、カバンの取っ手を握りしめ、車から降りようとする。
これ以上、長居したくなかった。
だいぶ面倒くさがられてたし、この話題でまた駄々をこねて、困らせてもうたり、嫌われてしまうのは嫌やった。
だから、すんなり離れようと思ってたのに──