都合のいいオトコ
「俺がひとりの間はええよ」
ドアを開けようとする私に、ミツルはそう言うた。
「……え?」
言ってる意味がわからんくて首を傾げると、ミツルはハンドルに両腕をかけ、面倒くさそうにため息をついた。
「彼女ができたらやめるけど、それまでなら、俺も暇やし……送り迎えくらいはしたる」
気だるげな態度で言われる、これからのこと。
「もういいよ。私に付き合ってたら寝不足になるやん」
これ以上は悪いなと思って、遠慮してたら──
「電話かけといで。……“誰”とか、もう言わんから」
ミツルは私の言葉を無視して、この関係を続ける方向へ持っていった。彼女ができるまでという期限付きで。