王子様はマーメイドを恋の海に溺れさせて
☆一緒にいこう
■
目を開けると海中ではなくーー室内だった、それも実家。
「起きたんだ? 良かった」
途切れた記憶を手繰り寄せていると彼が突然現れ、飛び起きる。
「は、晴臣さん! な、なんで私の家に?」
「慌てると傷口が開くぞ。安静にしなさいってお医者さんからの伝言だ」
「医者? あぁ、しゅう」
「しっ! 彼の名前は言わないで」
ささっとベッドに近づき、私の唇へ人差し指をくっつけた。温かい指は結城奈美が生きている旨も示し、あの状況下で生還した奇跡と、そうではない感情をわかせる。
「痛み止めは効いてる? 結構深くまで切れていたみたい」
布団をどけ足元を確認すれば包帯が巻かれている。
「痛みはありません……跡、残りますか?」
「どうだろう。今は傷を直す事に集中しようか」
「跡が残ればいいな」
「は?」
助けてくれたであろう晴臣さんにお礼を告げるどころか、まともに目も合わせない。俯き、包帯の上から傷を探す。
「奈美、まだ混乱してる? もう大丈夫だ、僕はここにいるよ?」
ここに至る過程説明をすっぽかし、晴臣さんは包み込もうとした。私の精神安定を最優先で動く。
しかし、当人は大きく広げた腕を露骨に避けベッドの端へ移動する。
「傷跡が残れば花梨ちゃんも納得してくれますし」
「奈美、何を言ってる?」
「私、晴臣さんや修司、花梨ちゃんにも合わせる顔がありません!」
目を開けると海中ではなくーー室内だった、それも実家。
「起きたんだ? 良かった」
途切れた記憶を手繰り寄せていると彼が突然現れ、飛び起きる。
「は、晴臣さん! な、なんで私の家に?」
「慌てると傷口が開くぞ。安静にしなさいってお医者さんからの伝言だ」
「医者? あぁ、しゅう」
「しっ! 彼の名前は言わないで」
ささっとベッドに近づき、私の唇へ人差し指をくっつけた。温かい指は結城奈美が生きている旨も示し、あの状況下で生還した奇跡と、そうではない感情をわかせる。
「痛み止めは効いてる? 結構深くまで切れていたみたい」
布団をどけ足元を確認すれば包帯が巻かれている。
「痛みはありません……跡、残りますか?」
「どうだろう。今は傷を直す事に集中しようか」
「跡が残ればいいな」
「は?」
助けてくれたであろう晴臣さんにお礼を告げるどころか、まともに目も合わせない。俯き、包帯の上から傷を探す。
「奈美、まだ混乱してる? もう大丈夫だ、僕はここにいるよ?」
ここに至る過程説明をすっぽかし、晴臣さんは包み込もうとした。私の精神安定を最優先で動く。
しかし、当人は大きく広げた腕を露骨に避けベッドの端へ移動する。
「傷跡が残れば花梨ちゃんも納得してくれますし」
「奈美、何を言ってる?」
「私、晴臣さんや修司、花梨ちゃんにも合わせる顔がありません!」