王子様はマーメイドを恋の海に溺れさせて
 遠慮がちに上着へ手を入れてきた。胸を探り当てると揉み始め、こちらの様子を見る。

「奈美、脱いで下着も外して。したいなら自分で出来るよね?」

 片手でお尻から太腿を撫で回し、少々命令口調で言う。私は指示に素直に従いブラジャーを取った。

「あ、あの、電気を消しても?」

 胸元を枕で隠して照明のリモコンを探す。そういえば投げ付けてしまったんだと振り返り、床に落ちたそれを拾おうとしたのだが。

 彼がむくりと上半身を起こすなり、私の手を剥いで吸い付いてきた。

「あ、ん、んんっ、明かりを、ねぇ」

「奈美が俺の上で泳いでいるのが見たい」

 私の位置からも認識できるよう胸の先端をなぶる。あーん、効果音がつく開き方をして二つの果実を堪能。

 すっかり主導権は晴臣さんへ移り、なすがまま。腰を浮かし下着をねじり落とすと、彼を受け入れる準備が念入りに施されていく。

「恋人のキス、する?」

「う、うん、したい」

 積極的に応じ、下からの水音を誤魔化す。

「奈美、二本もはいっちゃってるよ?」

「んは、っん、あぁ、言わないで!」

 恥ずかしくて顔が染まるのを青い瞳は満足気に観察している。

「な、なんか晴臣さん、いじわる」

「こういう僕は嫌いかな? 奈美の全部が見たくて全部が欲しいんだ」
< 134 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop