王子様はマーメイドを恋の海に溺れさせて
急変
■
「ーー私を迎えにきたの?」
下船すると黄色の車が待ち構えていた。私の姿を認識するなり修司が運転席から飛び出してくる。
「他に誰を迎えに来たって言うんだ? いいから乗れよ」
「う、うん。病院は大丈夫なの?」
「非番」
私が出てくるのをずっと待っていてくれただろうに、彼はつっけんどんに返す。
「そっか」
「乗れ」
おずおずと乗り込み、シートベルトを引く。修司がこちらの仕草をつぶさに観察している気がし、もたついた。
「あぁ、しばらく横に乗せてないから固くなっちまってるかもな」
身を乗り出し私のベルトを締める際、スンッと鼻を鳴が鳴らされる。
「なんか香水つけてる?」
「え、ううん、つけてないけど?」
指摘されたので自分でも確認するものの、よく分からない。
カチッとはまる音がして修司が離れていく。
「悪かったな」
「え?」
「昨日は置いてきぼりにして悪かったって言ってるんだ」
ハンドルを両手で握り締め、正面を見たまま謝罪。修司らしいといえば修司らしいが。
「本当は奈美も連れて帰りたかったが、あの雨と風じゃ長居は出来なかった。しかも花梨が泣きじゃくってて。花梨、御曹司に酒をぶっかけたんだって?」
「……花梨ちゃんから何処まで聞いた?」
尋ねたところでエンジンがかかる。
ラジオのニュースでは嵐が去った旨を伝え、朝六時時点での交通情報も流す。この情況ならば豪華客船は本日出発できそうだ。
「ーー私を迎えにきたの?」
下船すると黄色の車が待ち構えていた。私の姿を認識するなり修司が運転席から飛び出してくる。
「他に誰を迎えに来たって言うんだ? いいから乗れよ」
「う、うん。病院は大丈夫なの?」
「非番」
私が出てくるのをずっと待っていてくれただろうに、彼はつっけんどんに返す。
「そっか」
「乗れ」
おずおずと乗り込み、シートベルトを引く。修司がこちらの仕草をつぶさに観察している気がし、もたついた。
「あぁ、しばらく横に乗せてないから固くなっちまってるかもな」
身を乗り出し私のベルトを締める際、スンッと鼻を鳴が鳴らされる。
「なんか香水つけてる?」
「え、ううん、つけてないけど?」
指摘されたので自分でも確認するものの、よく分からない。
カチッとはまる音がして修司が離れていく。
「悪かったな」
「え?」
「昨日は置いてきぼりにして悪かったって言ってるんだ」
ハンドルを両手で握り締め、正面を見たまま謝罪。修司らしいといえば修司らしいが。
「本当は奈美も連れて帰りたかったが、あの雨と風じゃ長居は出来なかった。しかも花梨が泣きじゃくってて。花梨、御曹司に酒をぶっかけたんだって?」
「……花梨ちゃんから何処まで聞いた?」
尋ねたところでエンジンがかかる。
ラジオのニュースでは嵐が去った旨を伝え、朝六時時点での交通情報も流す。この情況ならば豪華客船は本日出発できそうだ。