王子様はマーメイドを恋の海に溺れさせて
私と修司はベッドへ横たわる母を見る。医院長のご厚意で個室を割り当てて貰った。
「おう凄いだろ。敬え、敬え」
茶化す修司にかぶりを振る。
「ーー本当に凄いってば。医院長からここで働かないかって誘われてるんでしょ? 前に話しているの聞こえちゃった」
その際、看護師から人気があるのも。
医院長が腕を見込む優秀な医師、そのうえ若く容姿も整っているのだから騒がれるのも納得だ。
「てか、俺がこの病院で働いたら島の連中はどうなる? まぁ、花梨とお前がついて来るなら考えるけど、どうせお前らは島から離れないし」
「花梨ちゃんはともかく、私は考慮しなくていいってば。いつも言ってるよね?」
「強がるんじゃねぇ、おばさんがまた倒れたら? 一人で対応出来るのか? それとも御曹司に頼む?」
言いつつ、頬を掻く修司。
「あー、そうじゃない。俺はお前に頼られたいんだ」
「充分頼ってるって」
「それは医者の俺だろ? 男として頼られたいって言ってる」
座ったまま彼を見上げ、あちらも私を窺う。
「奈美からしたら、花梨にせがまれて付き合っただけ。俺に気持ちが無いのは重々分かってるさ」
「せがまれたからって、そういう言い方はーー」
「とにかくだ、西園寺はやめておけ。あの男を好きになっても奈美は幸せになれない、傷付けられる。嫌なんだ! 俺はお前が泣かされるの、耐えられない!」
「おう凄いだろ。敬え、敬え」
茶化す修司にかぶりを振る。
「ーー本当に凄いってば。医院長からここで働かないかって誘われてるんでしょ? 前に話しているの聞こえちゃった」
その際、看護師から人気があるのも。
医院長が腕を見込む優秀な医師、そのうえ若く容姿も整っているのだから騒がれるのも納得だ。
「てか、俺がこの病院で働いたら島の連中はどうなる? まぁ、花梨とお前がついて来るなら考えるけど、どうせお前らは島から離れないし」
「花梨ちゃんはともかく、私は考慮しなくていいってば。いつも言ってるよね?」
「強がるんじゃねぇ、おばさんがまた倒れたら? 一人で対応出来るのか? それとも御曹司に頼む?」
言いつつ、頬を掻く修司。
「あー、そうじゃない。俺はお前に頼られたいんだ」
「充分頼ってるって」
「それは医者の俺だろ? 男として頼られたいって言ってる」
座ったまま彼を見上げ、あちらも私を窺う。
「奈美からしたら、花梨にせがまれて付き合っただけ。俺に気持ちが無いのは重々分かってるさ」
「せがまれたからって、そういう言い方はーー」
「とにかくだ、西園寺はやめておけ。あの男を好きになっても奈美は幸せになれない、傷付けられる。嫌なんだ! 俺はお前が泣かされるの、耐えられない!」