孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「……わかってます、が」

少しでも印象をよくしようと、ピシッと姿勢を正す。
そんな私に彼はさらにため息をついた。

「自分が向いていると思う?」

「それは……」

正直にいえば、こんな事態でもなければこんな店で働こうとは思わないだろう。
いや、別にキャバ嬢という仕事を見下しているわけではない。
地味で実直、話の機転も利かないような私ができるような仕事ではない。

「わかってんなら帰りな」

邪険に彼が手を振り、背後で控えていた男がドアを開ける。
しかし私はここで引き下がるわけにはいかないのだ。

「そこをなんとかお願いします……!」

座っていたソファーから飛び降り、汚れるなどかまわずに土下座する。

「どうしてもお金が必要なんです……!」

ひたすら、額を床に擦りつけた。
雇ってくれるというのなら、その靴を舐めてもいい。

「ちょっ、やめてよ。
オレが悪いことしてるみたいじゃん」

私のあまりの勢いに店長は動揺しているようだった。

「まあ、金が必要っていうんなら……」

「雇ってくれるんですか!?」

期待を込めて頭を上げたものの。

< 10 / 248 >

この作品をシェア

pagetop