孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「なーんで花音はいつまで経ってもさん付けで呼ぶかな?」

そんな不満げに言われたって、年上で上司。
いくら夫でも無理に決まっている。

「ベッドの中ではあんなに可愛く『海星、海星』って言ってくれるのになー」

はぁーっとわざとらしく、彼がため息をつく。
それにカッと頬が熱くなった。

「あ、あれは……!」

……海星さんが無理矢理、そう覚え込ませたんじゃない!

喉まで心の声が出かかったが、どうにか止めた。
言ったらまた、なにをされるかわからない。

「ん?
でも普段はさん付けなのに、セックスのときだけ海星って呼ぶのもそれはそれで燃えるか……」

なんだか彼は真剣に悩んでいるが、気にしないようにしよう。

「それで。
海星さん」

こほんと小さく咳払いし、その場を仕切り直す。

「社長になりたくないとはどういう意味ですか」

「別に俺は好きでこの仕事をしているわけじゃない。
大学を卒業してしばらくは修行と称して別の会社、IT企業に勤めていたしな」

私が入社したときにはすでに彼は営業部長として働いていたので、それは初耳だった。

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