孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
そこまで海星さんが考えているなんて知らなかった。
でも、それは誠実で真面目な彼らしい決断で、今までずっとどこか引っかかっていた疑問がすっきり解決した。

「それでこんな無理を花音にさせているわけだが、本当に悪いと思っている」

私に詫びる彼の声はどこまでも真剣だった。

「えっ、謝らないでくださいよ!」

慌てて謝る彼を止める。

「それに海星さんがそこまで会社……というか、まわりの人のことを考えてるって知って、ちょっと感動してるっていうか」

私だったらこんな自分を犠牲にするように社長になるなんて決断できるだろうか。
いくらたくさんの人を不幸にするとわかっていても、きっと迷う。
こんなふうに考えられる彼を尊敬する。

「だから私も早く身籠もれるように妊活、頑張ります!」

今まではただ漠然と妊娠しなきゃくらいにしか考えていなかった。
これからは妊娠しやすくなるようにいろいろ気をつけたいな。

「優しいな、花音は」

ふっと唇を緩ませて、柔らかく海星さんが笑う。

「そんな花音に今から嫌な思いをたくさんさせるわけだが……。
本当にすまない」

また彼が真剣な顔になり、私に詫びてくる。
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