孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「うんうん。
でもそれ、融通が利かないってことだけど、大丈夫?」

弟に私はそういう認識をされていたのだと初めて知った。
しかし、融通が利かないはよく言われる。

「そこがいいんだろ。
案外、間違っているとはっきり言うのは難しいんだ」

それは今までの彼の人生がそうだったんだろうと思うと切なくなった。
あの親と弟だ、きっと間違ったことをたくさん言っている。
しかし反論すれば今日みたいに物が、手が、飛んできたのだろう。

「それに俺は花音に救われたからな。
花音が貧乏人だろうとお姫様だろうと関係ないよ」

眼鏡の奥で目を細め、眩しいものかのように海星さんが私を見る。
おかげでみるみる頬が熱を持っていった。

「へーへー、お熱いこって」

気まずそうに弟が目を逸らす。

「ん?
もういいのか?
花音の可愛いところならいくらでもあげられるぞ?」

海星さんはまだ語り足りないらしいが、いい加減にしてください……。
父も母もどうしていいのかわからないのか、もぞもぞしているし。

海星さんの実家とは違い、楽しく過ごして実家をあとにする。

「今度は一緒に酒を飲もう」

「そうですね、楽しみです」

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