孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
父は海星さんが気に入ったらしく、今日は車なのでお酒が飲めないのを残念がっていた。

「じゃあ、また来ます」

「ええ、いつでも来てね」

母はイケメンの、しかも性格もよさそうな息子ができたと大喜びだ。

「じゃあおやすみー」

両親に見送られて海星さんが車を出す。
弟はオンラインゲームの約束があると途中で抜けていた。

「素敵な家族で、羨ましい」

「そうですか?
騒がしい……」

そこまで言って、止まる。
今日、彼の家族の実態を目の当たりにした。
あんな家族ならば、うちのようなごく普通の家族でも羨ましく思えるに違いない。

「えっと」

こほんと小さく咳払いし、前言を撤回する。

「これから私たちで、素敵な家族になりましょう。
それにうちの家族はもう、海星さんの家族ですよ」

笑って、彼の横顔を見上げる。
なにかに気づいたように大きく開かれた目は、みるみるうちに潤んでいった。
片手で自分の眼鏡から下を海星さんが覆う。

「……うん、そうだな」

頷いた彼の目尻は光っていて、ぎゅっと私の胸が苦しく締まる。
これから私が、海星さんの素敵な家族になっていけばいい。
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