孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
海星さんの運転する車で会社へ向かう。
途中、コーヒーショップに寄って朝食を摂った。

「今日、俺は遅くなるから、帰りはタクシー使え。
一昨日みたいに電車で帰るとか、なしだ」

「うっ」

上目で恨みがましく睨まれて、言葉が詰まる。
毎日、帰りも海星さんの車だが、一昨日は接待が入っているからかなり遅くなるのでタクシーで先に帰るように言われた。
しかしそんな贅沢が怖くて電車で帰ったわけだが、あとでバレて滅茶苦茶怒られた。

「電車は痴漢が出るから危ないからな」

さらっと言って海星さんがサンドイッチにかぶりつく。

「でも、普通の女性は乗ってるわけですし……」

精一杯の反論をしたものの。

「金があればうちの全女性従業員をタクシー通勤にしたいくらいだ。
さすがにそれは無理だから注意喚起とケアしかできないけどな」

はぁっと短く彼がため息をつく。
つい先日、海星さんの直属の部下が痴漢に遭ったらしい。
今、そのケアに彼は腐心している。

「女性に危害を加えるヤツとか、同じ男として恥ずかしい。
滅べばいいのに」

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