孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
吐き捨てるように彼が言った言葉の中には、一士本部長が含まれているんだろうなと推測された。
もう彼は何度かセクハラで女性から会社へ訴えられている。
そのたびにあの手この手を使って黙らせているのは有名な話だった。

「いってらっしゃい」

「いってきます」

車を降りる前にキスしてもらい、海星さんとは会社近くで別れる。

「おはようございます」

「おはよう」

エレベーターの前で右田課長と一緒になった。

「今日もラブラブで羨ましいな」

「えっ、あっ、いや」

あれを見られていたのかと恥ずかしくて、あっという間に顔が熱くなる。

「いろいろ大変だろうけど、頑張れよ」

励ますように彼はエレベーターに乗る際、私の背中を軽く叩いた。

「ありがとうございます」

私たちの結婚は困難ばかりだ。
でも、絶対にめげないと決めていた。

仕事が終わり、タクシーで家に帰る。
また、こんなことで無駄な喧嘩はしたくない。
それに海星さんがそれだけ私を心配してくれているのは嬉しいし。

なんとなく地味にお腹が痛くて、夕食は帰ってストックしてある冷凍お弁当で済ませた。

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