孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
海星さんは自分がしないことは私もしないでいいし、自分ができることは俺がやるから私はしないでいいと言う。
海星さんは家事をしないので、私もしないというよりもする必要がない。
掃除洗濯は週三回入っている家政婦さんがやってくれるし、食事はほとんど外食だ。
それでも家でゆっくり食べたい日もあるし……と言ったら、冷凍食品をあれこれストックしてくれるようになった。
定期配達のお弁当もそのひとつだ。
疲れて家に帰って洗濯や炊事をしないでいいのは楽でいいが、できた時間を持て余しているなんて贅沢な悩みだ。

「……ううっ」

テレビで配信の映画を観ながら、お腹を押さえてソファーで丸くなる。
夕方からずっと、お腹が痛い。
ちょうど時期だし、嫌な予感がする。
でも、そうじゃなかったらいいと強く願った。

温めれば治まるんじゃないかとおそるおそるお風呂に入る。
でも鈍い痛みは続くばかり。

「……はぁーっ」

「ただいまー」

憂鬱なため息をついて上がったタイミングで、海星さんが帰ってきた。

「おかえりなさい」

「ん、ただいま」

私の頬に触れ、口付けしかかって彼が止まる。

< 142 / 248 >

この作品をシェア

pagetop