孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
出てきて手を洗う私の背後に海星さんがぴったりとくっつく。

「心なしか、顔色が悪い気がするし……」

心配そうに彼は、眼鏡の下で眉を寄せていた。

「大丈夫ですよ、全然」

体調もメンタルも最悪だが、病気ではない。

「本当か。
なにか言いたいことがあるなら、はっきり言ってくれ」

私をソファーに座らせ、海星さんはレンズ越しに真っ直ぐ私を見た。
私の体調を気遣ってくれた。
なにか心当たりがあるわけでもないのに、怒っているのなら話してくれと理由を聞いてくれる。
こんな優しい人をがっかりさせたくない。
でもこれは、彼の問題でもあるわけで、黙っているわけにはいかない。

「その」

「うん」

口を開いたものの言葉は喉に詰まってなかなか出てこない。
けれど海星さんは辛抱強く待ってくれていた。

「せ、……生理が、きて」

「うん?」

なにを言われているのかわかっていないのか、海星さんはそのまま考え込んでいる。
少ししてなぜか突然、抱き締められた。

「あの……」

「ごめん」

唐突に謝られ、わけがわからない。

「俺は花音に、酷く重いプレッシャーを与えていたんだな」

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