孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「じゃあ、俺はいってくるけど。
なんかあったら連絡しろ。
すぐに帰ってくる」

「だか……」

そこまでしなくていいと言いかけて止まる。
そうしないと海星さんの気が済まないし、安心できないのだ。

「……わかりました」

今度は素直に頷いた。
私の旦那様はどうも、心配性の過保護なのらしい。

「なるべく早く帰ってくる」

「いってらっしゃい」

私の額に口付けを落とし、海星さんは仕事に行った。

「お腹痛い……。
頭痛い……」

ひとりになって布団の中で丸くなる。
それでも薬が効いてきたのと、昨晩もこんな状態でぐっすり眠れなかったのでうとうとしてきて、そのうち眠っていた。



――夢を、見た。

「一士の妻が妊娠した」

冷たい目で海星さんが私を見下ろす。

「俺は社長になれなかった」

ごめんなさい、すみません。
謝罪し、必死に取り縋るが彼はかまってはくれない。

「お前はもう、用済みだ」

吐き捨てるように言い、踵を返して彼が去っていく。
待って、待って!
私はあなたを――。

「愛しているの!」

自分の叫び声で目が覚めた。

「はっ、ははは……。
酷い、夢」

私の口から乾いた笑いが落ちていく。
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