孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
がしっと両手で手を掴まれたかと思ったら、興奮気味に熱弁された。

「えっと……。
ありがとうございます?」

曖昧に笑い、戸惑い気味にお礼を言う。
いや、正直にいえば眼鏡の私、それも以前の地味な私を好きだと言ってもらえたのは嬉しかった。
ただ、海星の熱意があまりにも過ぎて受け止めきれなかっただけだ。

準備が終わり、教会へ移動する。
軽い打ち合わせのあと、すぐに式が始まった。

「坂下花音を妻とし、ともに歩むことを誓いますか」

「はい、誓います」

真っ直ぐに前を見て誓う海星さんの声には強い決意が溢れていた。

「盛重海星を夫とし、ともに歩むことを誓いますか」

借金の肩代わりの代わりに子供を産めなんて滅茶苦茶な条件から始まった結婚生活だが、後悔はない。
それどころか海星に出会わせてくれて、神に感謝したいくらいだ。

「はい、誓います」

私は絶対に海星から離れない。
死がふたりを分かつときまで、ずっと一緒にいる。
嘘だったら海星がそう言ってくれたように、私もこの命を海星にあげる。

「では、誓いのキスを」

海星が私のベールを上げ、唇が重なった。
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