孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「そう。
一晩花音と会えなかったら、死ぬ。
だからいっぱい、花音を充電しておかないといけないの」

証明するかのように彼がキスしてくる。
なんかもうそれで、許していいかという気になっていた。

私がぐずぐずしていたせいで家を出ないといけない時間が迫っており、急いで準備をする。
今日は車に向かう私の手にも海星の手にもキャリーケースが握られていた。

「同じホテルに泊まるのに、部屋は別とかやめてほしいよな」

運転しながら海星は不満げだ。

「仕事だから仕方ないじゃないですか」

今回の出張はある施設の落成記念パーティに招待されていた。
私が入社してやっと一人前になった頃から携わっている仕事で、それからもう五年になる。
そのあいだに携わっている人間も変わり、いつの間にか私が右田課長の下で取りまとめをするようになっていた。

「確かに仕事だけどさ……」

まだ彼は文句を言っているが、だから昨日あんなにシたのでは? と口から出かかったがやめておいた。

午前中は普通に仕事をし、午後から右田課長の運転で出発する。
海星は朝から別件で出掛けていて、別で行く。
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