孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「いや、いいんだ。
結婚してしまった君に後出しでこんなことを言うのは僕の傲慢だとわかっている。
聞いてもらえただけ、嬉しい」

こんなふうに言える課長はやはり、誠実で素敵な人だ。
もし、海星より先に彼に告白されていたら、高志と別れて課長と付き合っていたんだろうか。
想像してみたが、少しもできない。
課長には悪いが私にとって右田課長はあくまでも尊敬できる上司であって、運命の相手はやはり海星なのだ。

会場であるホテルに入る。
宿泊する部屋も同じホテルに取ってあった。
私と右田課長はシングルだが、海星はスイートらしい。

一度、部屋に入り持ってきたドレスに着替える。
紺のミモレ丈Aラインドレスは今日のために海星が買ってくれたものだ。

「いい、かな?」

鏡の前で回り、姿を確認する。
髪は巻いて甘めのお団子に結ったが、黒縁眼鏡は健在だ。

「仕方ないよね」

つい、苦笑いが漏れる。
絶対に眼鏡は外さないように今日も海星から言われた。
これが男避けになっているのなら、従うしかない。

パーティは普通といえば普通だった。
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