孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
酔ってしまった私をロビーに連れ出し、右田課長が休ませてくれる。

「ほら、水」

「本当になにからなにまですみません……」

自販機を探し、買ってきた水を彼が渡してくれる。
迷惑をかけてしまい、大変申し訳ない。

「まあ、気持ちはわかるけどな」

困ったように右田課長は小さく笑った。

「でも、あれは社交辞令だから許してやれ」

「わかってるん、ですけど……」

ペットボトルを手の中で弄ぶ。
彼に言われなくても、あれは作り笑顔だってわかっていた。
それでも、海星が女性の前でにこにこ笑っているのが嫌だった。
しかも私がヤキモチを妬いているのに気づいているのか、勝ち誇ったように笑っちゃって!

「旦那がイケメンで金持ちだと盛重も苦労するな」

「ほんとですよ。
少しは私の苦労もわかってほしいです」

はぁーっと私の口から苦悩の濃いため息が落ちていき、ふたりで笑っていた。

冷たい水を飲んだおかげで、かなり復活した。

「そろそろ……」

「坂下」

顔を上げたら、右田課長がどこか思い詰めた顔で見ていた。

「右田、課長……?」

あまりにも真剣な顔が怖くて、目は逸らせない。
< 202 / 248 >

この作品をシェア

pagetop