孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
なのにそんな危険を冒してまで、あんなことをする必要があったんだろうか。

「そう……だな」

少しのあいだ考えていた海星もおかしいと気づいたらしく、顔を上げた。

「普段の右田課長なら人を貶めてまで自分の我を通そうとなどしない」

同意だと勢いよく頷く。

「なにかありそうだな。
調べておく」

海星がそう言ってくれてほっとした。

「時間ができたし観光でもして帰るか」

海星は早速、携帯片手に観光地を調べている。
結局、訴える話は保留になった。
事情があってもキスしてきたのは許せないが、それでも訳を聞いてから決めたい。

「近くにアウトレットモールがあるな。
買い物でもするか」

「あ、いや、買い物はいいんじゃないですかね……?」

やんわりと海星の申し出を断る。
初めて海星に百貨店に連れていかれた日、山ほど服を買ってくれたうえに、ときどきなんだかんだいって外商の影山さんに服を持ってこさせては全部お買い上げするのだ。
おかげでレジデンスのウォークインクローゼットはかなり広いのにパンクしそうになっていた。

「いや。
昨日のお詫びになにか買ってやりたいからな。
アウトレットモールで決まりだ」

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