孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
携帯をポケットにしまい、海星が身支度をしだす。

「うん……はい……わかりました……」

またきっと、とんでもない量を買うんだろうなと、私が遠い目をしたのはいうまでもない。



海星の気の済むまで買い物をし、車のトランクをパンパンにしてアウトレットモールを出る。

「ふふっ」

ふと胸もとに目を落としては、嬉しくてつい笑ってしまう。

「満足してもらえたみたいでよかった」

「あっ、はい!」

くすりとおかしそうに小さく笑われ、焦って返事をする。
私の胸もとには海星が買ってくれた、ペンダントが下がっていた。
お詫びなどいいと断ったが、見るくらいいいだろと入ったアクセサリーショップで紐を結んだようなデザインのものが気に入ったのだ。
でも、悪いしと一度は店を出たもののどうしても忘れられず、結局買ってもらった。

「ありがとうございます、海星」

「いや。
俺は花音の喜ぶことならなんでもしたいだけだ」

下がってもいない眼鏡を海星が上げる。
でも、弦のかかる耳が真っ赤になっていた。

< 216 / 248 >

この作品をシェア

pagetop