孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
海星が頭を下げたが、誰もが黙っている。
それくらい、彼はなにも言わせない空気を醸し出していた。

「花音。
もうここに用はないから行こうか」

私の背を押し、彼が行こうと促す。
しかし部屋を出かかったところで立ち止まり、海星は振り返った。

「ああ」

いまだに固まっている一同を彼が見渡す。

「私の妻をバカにするのは、いくら家族でも許しません。
……いえ。
もう家族ではないのでしたね。
家族なら多少温情で手加減いたしますが、家族でないのなら」

一度、言葉を切った海星の目が眼鏡の奥で切れそうなほど細くなった。

「……徹底的にやり返してやる」

彼の声は地の底にまで響きそうで、魂まで冷える。
それは他の人間も同じだったみたいで、みるみる顔の色が失われていった。

「いこう、花音」

今度こそ、海星と一緒に車へ向かう。
彼がロックを解除するタイミングで我に返った社長と一士本部長が追いついてきた。

「海星!
キサマ、どういうつもりだ!?」

社長が海星の胸ぐらを掴む。
海星はそれを、冷たく見下ろした。

「どういうつもりも、先ほど言ったとおりですが」

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