孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「兄弟仲良く揃って会社を盛り上げていかなくてどうする!?」

仲良くなんてどの口が言っているのだろう。
海星をあんなに酷い扱いしておいて。

「そうだぞ!
兄は弟を助けるのが当たり前だろ!」

いまさら家族面をしてくる彼らに反吐が出る。
しかもそうやってご機嫌を取っているつもりなんだろうが、本音が透けて見えて気持ち悪い。

「はぁっ。
やめてもらえますか」

短くため息をつき、海星が社長の手を払いのける。

「今まで私はあなたたちに尊厳を踏みにじられ、酷い扱いを受けてきました。
もうこれ以上、あなたたちのいいようにされるのはごめんです」

「なんだと!」

再び社長が海星の胸ぐらを掴む。

「育ててやった恩を忘れよって!」

「忘れた?
先ほど、感謝して差し上げましたのに?」

薄らと彼が笑う。
見下すそれは触れるだけで切れる日本刀のようで、社長と一士本部長の喉仏が緊張からかごくりと動いた。

「とにかく。
今後一切、あなたたちとは関わり合いにはなりたくありません。
会社は引き継ぎ等がありますので今しばらく籍は置きますが、それが終われば完全に縁を切ります。
では」

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