孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
それ以外、なにも言えなかった。

「ごめんなさい、ごめんなさい。
役立たずな私でごめんなさい」

「花音……」

ひたすら謝罪し続ける私を海星がぎゅっと強く抱き締める。

「いいんだ。
言っただろ?
どうしても社長になりたいわけじゃない、って」

「でも、でも……!」

「花音は悪くない。
悪くないんだ」

私の謝罪をやめさせようと、ますます海星の腕に力が入った。

「……海星」

胸を押してその腕の中から逃れ、彼を見上げる。
汚れた眼鏡ではよく表情が見えないが、それでも戸惑っているのはわかった。

「なんで私を責めないんですか……?」

彼が私を責めないのはわかっていた。
だからこそ、私は私が許せない。

「私を責めてくださいよ。
なんで俺を社長にしてくれなかったんだって罵ってくださいよ」

彼の胸を拳で叩き、感情をぶつけた。
じっと私を見つめたまま、海星は固まっている。

「……花音は俺に、罰してほしいのか」

なにも言わず、訴えるようにただ彼を見上げた。

「わかった」

頷いた彼が私を見下ろす。

「花音は一士の妻より早く妊娠して、俺を社長にできなかった。
だから」

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