孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
「アイツはまた、きっと君たちに迷惑をかけに来たのだろう。
すまない」

真摯に詫びられたが、図星なだけにどう返していいのかわからない。

「いえ、海星本部長のせいではないので……」

「詫びにもならないがこれで、皆でなにか食べてくれ。
できるだけアイツの無理難題は止めてくる。
じゃあ」

財布から抜き出したお札を数枚ほど握らせ、今度こそ彼は半ば駆けるように応接室へと向かっていった。

「一士!」

「げっ、海星!」

すぐに勢いよくドアが開き、言い争っている声が聞こえてくる。
けれどドアが閉まると同時に聞こえなくなった。

「……海星本部長も大変だよ」

手の中のお札は彼の誠意だ。
それがわかっているだけに、同情した。
ありがたく今日はこれで、みんなで夜食に豪華お弁当を取らせてもらおう。



仕事が終わり、住んでいるマンションに帰るとふたりの知らない男が待っていた。

「……えっと。
どちら様でしょうか」

鍵は……恋人で同居人がよくかけずに出掛けるので、開いていたのかもしれない。
それでも不法侵入には違いなく、さらに土足でリビングのローテーブルに座っているとなれば、完全に不審者だ。
身の危険を感じ、後ろ手で今閉めたばかりの、ドアのノブを掴む。
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