孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
第二章 可哀想だと自覚した
髪を撫でる、優しい手で目が覚めた。

「起こしたか?」

目を開けると、柔らかなバリトンが降ってくる。
寝起きでしかも眼鏡なし、ぼんやりとしか見えない相手はスーツを着ているように感じた。

「……お仕事、ですか?」

まだ眠い目を擦り、起き上がる。
枕元を探るが眼鏡が見つからない。
昨日、どこに置いたっけ?
目覚めきらない頭で考えるが、まだ靄がかかっていてはっきりしない。
私がなにをしたいのか気づいたのか、彼が手を取って眼鏡を握らせてくれた。

「ああ。
少し片付けなければならない仕事があってな」

眼鏡をかけ、ようやく彼の姿がクリアに見える。
彼――海星本部長は困ったように少し笑った。

「大変、ですね」

営業部はシフト制だが私のいる開発部は基本、休日は休みだ。
今日は土曜日だから私はもちろん、開発本部長の海星本部長も休みのはずだ。

「なんてことないさ。
昼過ぎには帰ってくる。
花音はまだ、寝てていいからな」

ちゅっと彼が、私の額に口付けを落としてくる。

「……じゃあ。
お言葉に甘えて、そうさせてもらいます」

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