孕むまでオマエを離さない~孤独な御曹司の執着愛~
さらに彼が手招きしてドアを開ける。
そこでは高志がスーツ姿の男性たちと口論になっていた。

「警察の方」

「えっ?」

「このたびはご協力、ありがとうございます」

気づいたひとりが海星本部長に頭を下げる。
そのうち高志は彼らに連れていかれた。

「えっと……」

「詐欺事件の犯人が逃亡予定だと通報しておいた。
他にもアイツ、似たようなことやってたみたいだ。
ザマーミロ」

にっこりと笑った海星本部長は完全に胡散臭くて、おかげでなんか気が抜けた。

砺波さんにお礼を言い、弁護士事務所をあとにする。
駐車場に戻ってきて、車に乗せられた。

「とりあえず花音の家だな」

私に住んでいるマンションの場所を聞き、海星本部長はナビをセットしている。
これでようやく家に帰れると思ったものの。

「引っ越しは追い追いしてもらうが、当面の生活にいるものを取ってこい」

「ハイ……?」

意味がわからなくて首が斜めに倒れた。

「週明けには憲司が婚姻届を提出するから、そうなれば俺たちは夫婦だ。
子供の件もあるし、一緒に暮らしたほうがいいだろ?」

「そう……ですね」

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